菫が本のタイトルを告げ、柊依が未来日記に書きこむ。
そして柊依はまるで魔法を使ったみたいに軽やかに言う。
「さ、これでもう未来は変わったぞ」
「行ってくるわ」
まるで戦に赴くような神妙な面持ちで本屋のカウンターに向かった菫。
それから数分後、興奮したように頬を上気させた菫が小走りで戻ってきた。
その腕には、ブックカバーに包まれた本を抱えて。
「あった……! 奇跡的に一冊在庫を見つけたって……!」
こんなにはしゃいだ菫を見るのは、何年ぶりだろう。
初めておもちゃを与えられた子どもみたいだ。
「よかったね、菫」
「どうだ、信じてみる気になったか?」
「もちろんよ! 紫苑から話を聞いて信じてはいたけど、間違いなく本当なんだって確信したわ……!」
買ったばかりの本を抱きしめ、嬉しそうに頬を緩めている菫を見て、私と柊依は顔を見合わせて笑ったのだった。

