【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


すると、その時だった。


「君たち、ちょっといいかな」


突然前方からおじさんの声が聞こえてきて、そちらに目を向ければ、警察官ふたり組がこちらに歩いてくるところだった。


「夜遅いよね。ふたりでなにしてるのかな」


あくまで優しい語り口調で、だけど確実に距離を縮めてくる警官。


高校生だとばれたら、捕まって補導される。

……もし高校に話がいったりなんてしたら……。


「ずいぶん若そうに見えるけど、身分証明できるものある?」


……やばい。

警告音が頭の中で発動した。


その時だった。

市村が私の耳元で囁いたのは。


「走るぞ」

「え?」


聞き返した時にはもう、市村が私の腕を引き、走り出していた。