【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


「でもどんな顔して会ったらいいかわからないよ……」


それは、私が今まさに直面している大問題だった。

今日もあのあとすぐに、逃げるように帰ってきてしまった。


今までどおり柊依に接したい。

それなのにこのままでは、まともに目を合わせることもできなくなってしまいそうなのだ。

意識していることがバレたら、きっとこの気持ちだって見透かされてしまうというのに。


好きな男子ができたのは初めて。

好きだと気づいてしまったら、何事もなかったように普通に接するということが、想像していたよりもはるかにハードルが高くて怯んでいる。


こんなことでうじうじしているなんて小学生かと突っ込んでくるもうひとりの自分がいるけれど、こんなにも自分の心が思いどおりにいかないものとは知らなかった。


「私はどうしたらいいのでしょう、菫さま……」


しゅんとうなだれていると、思いがけず救いの手が差し出された。


「私が間に入ろうか?」

「え?」


顔を上げると、膝に頬杖をついた菫が唇の端を吊り上げ得意げに笑っている。


「私を交えて3人で会えば、少しは緊張も解れるんじゃない?」

「菫……」

「話に聞いてた未来日記ってものにも興味があるし。人目があって、なかなか柊依にもその話題を出せなかったのよね」

「菫さまあああああ」

「うるさい」