【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


そうしてリビングから出て行った柊依。

数分後。再びリビングへ戻ってきた柊依の手の中には、ピアスを開けるための道具一式が握られていた。


「じゃ、やるか」

「うん……」


もう背に腹は代えられない。

腹をくくった私の隣に、柊依が座ってきた。


ピアッサーを受け取ると、柊依に向き合うように座り直す。


消毒を終えると、ピアッサーを手に反対の手を伸ばし、柊依の右頬に手のひらをそっと添える。

こんな柔らかい場所に触れることはなかったからか、ピアッサーを掴む手に変に力が入ってしまう。

ぽつんと水滴がまだ濡れている髪から指に落ちてきた。


「よろしく、紫苑」


そう言って柊依が瞳を閉じる。

無防備なその姿に、私に身のすべてを委ねているのだという実感が湧く。