【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


ふいっと顔をそらしたあとで、ようやく本音をこぼすことができる。


「……でもずっと柊依は本当の私を見ててくれたね。本当の私を受け入れてくれた」


どんな私も、ひとりの人間として見つめてくれた。

だからこそ柊依の前では飾らない自分でいることができた。


「ありがとう。私を、私の心を、見つけてくれて」


あの夜、私を見つけてくれたのが柊依でよかった。

柊依に出会わなかったら、私の心はきっと迷子になったままだった。

ずっと自分を押し殺し、みんなにいい顔をして合わせて、”私”という存在と心の居場所を自分でも見失っていた。

でも、心はちゃんと自分の中にあったことを、柊依が思い出させてくれた。


「柊依のおかげで生きるのが、息をするのが、やっと楽しいって思えるようになったんだよ。……ずっと、なんのために生まれてきたかわからなかった。その意味を見つけようって焦ってた。でも今は、その理由をだれかの中に見つけたいなって思う。それはきっととっても幸せなことだから」

「紫苑……」


柊依の瞳が驚くように見開かれる。

その瞳に、私はどんなふうに映っているのだろう。