【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


市村とは同じ高校で、菫と市村は同じクラス。

双子だという配慮からか私と菫が同じクラスになったことはなく、つまり私と市村が同じクラスになったことがないというのは必然的なことだった。


菫と市村はキラキラしていて住む世界が同じって感じで、多分波長が合うのだろう。

ふたりは同じグループで、一緒にいるところをよく見かけた。


市村は高校で良くも悪くも目立つ存在だから一方的に知っていたけれど、接点はなく、話したことはない。


私のことなんて知らないと思っていた。それなのに。


「菫の双子だろ。逢沢紫苑さん」


名前を呼ばれ、体が一気に強張る。

鋭く透き通る瞳はすべてを見透かしてくるようで、その視線から逃げられない。


「私のこと知ってるの?」

「そりゃまぁ。つーか、こんなとこでなにしてんの。“いい子”が夜遊びなんてしていいの?」


市村の言う“いい子”に毒や皮肉を感じて、心の端っこがささくれ立つ。


……あんたになにがわかるの。


普段の私なら、きっと優等生の笑顔を貼りつけて、うまくかわしていただろう。

でも、もう市村に偽りは通じない。

そう悟った私は、きっと彼を睨みつけた。


「どこでなにしてようが、あんたに関係ない」

「ふーん、それが素ってわけ」

「それを言うならあんただって。こんなところでなにしてるの」

「だめ? 俺が夜遊びしてちゃ」


……うう。

市村に関してはイメージどおりでしかないため、なんのダメージもない。

依然市村優位の構図は変わらない。