【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


正座を崩し、脚を横に曲げると、私の背後にあるソファーに柊依が腰を下ろした。


「なぁ、ヘアゴム持ってる?」

「え、持ってるけど……」

「それ貸して」


言われるまま、腕に通しておいたヘアゴムを渡すと、私の長い髪を持ち上げ器用にたばね始める柊依。

そして数秒後、あっという間に頭の上にお団子ができていた。


「え、お団子だ」

「乾くまで髪上げてた方が楽だろ」

「ありがと……! すごいね、なんでこんなに手慣れてるの?」


男子が女子の髪をこんなにも手早く、そして綺麗に扱えるなんて驚きだ。

器用というだけでは説明できない。

女子である自分でさえいつも長い髪は下ろすだけで、なんのアレンジもしていないというのに。


すると柊依はなんてことないトーンでさらりと答える。


「妹の髪もよくやってたから」

「へぇー!」


手鏡でお団子ヘアを眺めてきゃっきゃっと喜んでいると、柊依が背後から私の肩に顎を置いてきた。


「そそるな、うなじ」

「変態」


ばっとうなじを手でガードし、背後の柊依を睨むと、柊依がふはっと空気を揺らして破顔する。