【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


柊依は洗面所に向かうと、白いタオルを2枚棚から取り出した。

そして1枚を自分の肩にかけ、もう1枚のタオルを広げたかと思うと、私の頭にかけて優しい手つきで髪を拭いてくれる。


「わっ」

「だいぶ濡れちゃったな」


その仕草がやけに優しくて、一瞬でも恋人みたいだと思ってしまった蕩けた思考の自分を殴りたい。


「も、もう大丈夫だから」


私は慌ててタオルを奪い取り、赤くなった頬をタオルで隠す。


「そうか? 俺のスウェットでよかったら貸すから。ちょっとサイズデカいだろうだけど、制服乾かしてる間はそれを着てろよ」

「うん……」

「じゃ、ちょっと待ってて」


そう言って柊依は洗面所を出て行く。


石鹸のような柔軟剤の香りに包まれながら、私は首をぶんぶんと横に振り、さっき浮かんだ考えをかき消す。

最近の私、ちょっとおかしいかもしれない。