【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように





結局腕を引かれたまま、私は柊依の家に来てしまった。


「どうぞ」


柊依がびしょびしょのまま、私を家の中に促す。


「え、でも」


このまま家にあがったら、家の中が濡れてしまう。

躊躇い、雨粒を滴らせている自分の体を見下ろしていると、柊依は私の不安要素を察したように笑った。


「いいよ、後で拭くし。それより早く体拭かないと風邪ひく」


頑固な私をすっかり理解している柊依は、再び私の腕を掴んで、半ば強引に家の中に連れ込んだ。


「……おじゃまします」

「どーぞ」


柊依の家に来るのは、出会ったあの日以来。

あの日は熱を出して倒れたところを、柊依が家に連れてきて看病してくれたのだった。


柊依の家の匂いが懐かしさを連れてくる。

優しい石鹸みたいな、落ち着く匂いだ。