【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


その時、ぽつっと頭の上になにかが落ちてきた。

水滴だ。


え、と思った次の瞬間、その雫は落ちる感覚を狭め頭と体を濡らしてくる。


「雨? うそ、最悪」

「傘持ってるか?」

「今日は持ってない」


いつもは折りたたみ傘を携行しているのに、今日に限って天気予報の降水確率0%という情報を信じて、置いてきてしまった。


昼間は晴れていたのに、お天気キャスターでも想定できなかったほど、今日の天気は移り変わりが激しい。


すると柊依はなにを思ったか突然私の腕を掴んだ。

そして雨に濡れながら眩しく笑う。


「よし、走るぞ」

「はっ?」


状況についていけない私の返事も待たずに、柊依は私の腕を掴んだままいきなり走り出した。