この前中学校に着いてきてくれた件といい、柊依にはたくさんの恩がある。
その少しでも恩返しができるなら、どんな頼みごとだってどんとこいだ。
そう思っていたのに。
「紫苑にピアスの穴開けてほしいんだよね」
「はっ?」
柊依からの頼みごとは、予想の遥か斜め上をいくものだった。
思わず調子の外れた声が出てしまう。
「ピアスの穴って、私が柊依の体に穴開けるってことっ?」
「体っていうか耳だけど。まぁ、そういうことになるな」
「なに言ってんの!? むりむり……! そんな責任重大なこと! それにもう穴開いてるじゃん。それは自分で開けたんじゃないの?」
柊依の左右の耳にはすでに穴が開いており、そこにはシンプルなデザインのピアスが着けられている。
それを指摘すると、柊依はいっそうまっすぐな瞳で私の瞳を射抜いてきた。
「でも紫苑に頼みたいんだよ」
……ずるい。
私はその瞳が弱点なのに。

