【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


私を抱き寄せたのはきっと、素直じゃない私が涙を流せるため。


「嫌われたくないって思うことは間違ってるのかな」


喉の奥から押し出された声は、涙に濡れてへにゃへにゃだった。


「人に嫌われて平気な奴なんているかよ」


後頭部をぽんぽんと優しく叩きながら、柊依が柔く囁く。

まるで私の心を解きほぐしていくように。


「でも苦しかったんだろ。嫌われないために自分を押し殺して」

「うん……苦しかった……」


……そう。仕方ないことだと目を逸らしていたけど、本当はずっと苦しかった。

正しいと思うことと違うことをするたび、自分の中にある心が小さくなって消えてしまうようだった。


だから自分ではない菫になって、夜の街に逃げ込んだのだと思う。

私とは違い、正直なまま生きている菫のことがうらやましかったから。