仁香をまっすぐ見つめる。
罪悪感に押しつぶされて消えてしまいそうな仁香を。
「ありがとう、仁香。話してくれて」
「え……」
「怖かったよね。同窓会の時だって、そう。私のためだったんだね」
人に意見しない仁香が言ったのだ。
きっと勇気が要ったはず。
でもそうまでして、私に間違っていると伝えようとしてくれた。
すると仁香は涙の膜で覆われた瞳で私を見つめ、声を震わせる。
「紫苑ちゃんの優しいところは全然変わってなかったね」
「仁香……」
もう何度もそうしたはずなのに、今日初めて視線が交わったような気がした。
中学の頃と同じように、心を通い合わせられている、そんな実感と懐かしさが満ちる。
ようやく私たちは、紆余曲折を経てあの頃の関係に戻ることができた。
仁香は涙を拭いながら清々しい表情で笑う。
屈託ない仁香の笑顔を、私は久しぶりに見た気がする。
「お父さんたちが待ってるから、そろそろ行かなきゃ」
「そっか」
「今日は会えてよかった。ありがとう、紫苑ちゃん」
「私も。ねぇ、仁香。また会えないかな」
思わずそう尋ねると、仁香は「もちろん」とはにかみ、小さなメモ帳に連絡先を書いて私にくれた。
そして名残惜しそうに何度も手を振りながら去っていく仁香を見送る。

