【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


核心に触れるのはまだ怖くて、他愛ない会話を続けてしまう。


「高校、どんな感じ?」

「んん、まぁまぁかな。勉強が難しくて着いていくのがちょっと大変。でも仲のいい友達がいて楽しいよ。紫苑ちゃんは?」


問われて、夢奈と夏鈴のことを思い出す。

脳裏に浮かぶのは、私に失望したふたりの顔。


「私は……どうなんだろ。うまくこなしてたつもりだったけど、本当はなにもうまくいってないのかもしれない」

「紫苑ちゃん……」


私の背になにかが触れる。

柊依の手だ。

その手は、ここにいるよと伝えてくるようで、たしかな勇気をくれる。


その手がなかったら、私は今まっすぐ立っていられなかったかもしれない。

でも大丈夫。

私には柊依がいるから。


体の横でぎゅっとこぶしを握り締めると、口を開いた。


「ねぇ、仁香。去年の同窓会の時のこと、訊いてもいいかな」