花鳥町に住む人達は、手から様々な花を出す事が出来る。

 明るい人はひまわり、思いやりのある人は白いチューリップなど。一人一つの花、その人の個性にあった花を手のひらから出す事が可能。

 これを皆は”個性の花”と呼んでいる。

 個性の花が同じ人も必ず存在する。だが、一つのみ、誰とも重ならない花がある。その花は”薔薇”。

 赤、黒、白。この三つの薔薇だけは、誰とも重ならず、一人ずつしか出す事が出来ない。

 薔薇にはそれぞれ、ある言い伝えが存在する。


 一つ、赤い薔薇は女神と呼ばれ、薔薇を出す人から愛されなければ手から弦が現れ動けなくなる。

 一つ、白い薔薇は天使と呼ばれ、誰かを慕い、愛さなければ体中に薔薇の痣が現れる。

 一つ、黒い薔薇は悪魔と呼ばれ――――…………