「いいの、折り畳み傘あるから。まだ降ってるから…じゃあ」
今宮は右側に背負っていた鞄を指でさして、手を上げていた。
雨はまだ止んではいなかったが、小雨程度になっていた。
「……今宮」
俺は地面を見てから、顔を上げた。
「…なに?」
今宮は行こうとしていたのをやめて、俺の方を向いて言葉を返した。
「…なんで俺の家に来た? 用事があったのか……」
俺は今宮がなぜ俺の家の近くに来たのか、不思議であった。
「……なんでもないよ。ただ寄っただけだから」
今宮は間を開けてから俺に答えていた。その間に違和感を覚えたが、彼女は鞄から折り畳み傘を出して、差して帰っていた。歩いてきた方向に戻っていたのだ。
彼女の歩いている後ろ姿を見て、小声でありがとうと呟いた。
その後、俺の声が聞こえたのか、後ろを振り向いて手を振っていた。
俺は少し手を上げてから、彼女に真顔で手を振った。彼女はやけに楽しげにしていた。
その変化に気づいていたのに、俺は何もしなかったのが心残りだと今にして思う。
彼女は彼女なりの考えがあったが、その深い意味までは知り由もなかった。
*
私は彼の家にいた。なんでかって……
それには訳があった。彼が学校に来るかを確認するためもあったが、私は昨日学校であったことを話そうと思った。いいことでも悪いことでもない。ただ、彼に話したかったんだ。
昨日、私は学校に行って、まずはあの幼馴染二人に話しかけた。
「……今いい?」
私は二人が座っていた席に行き、お昼時間話しかけた。
「…うん、いいよ」
桃が真顔で返事をして、お茶を一口飲んでから答えた。
朱は、ただ頷いていた。私は正反対な答えに二人が何を考えているか分からなく、心の中では言葉にするのに戸惑った。
「……あの時はなんで私に声をかけてきたの?」
今宮は右側に背負っていた鞄を指でさして、手を上げていた。
雨はまだ止んではいなかったが、小雨程度になっていた。
「……今宮」
俺は地面を見てから、顔を上げた。
「…なに?」
今宮は行こうとしていたのをやめて、俺の方を向いて言葉を返した。
「…なんで俺の家に来た? 用事があったのか……」
俺は今宮がなぜ俺の家の近くに来たのか、不思議であった。
「……なんでもないよ。ただ寄っただけだから」
今宮は間を開けてから俺に答えていた。その間に違和感を覚えたが、彼女は鞄から折り畳み傘を出して、差して帰っていた。歩いてきた方向に戻っていたのだ。
彼女の歩いている後ろ姿を見て、小声でありがとうと呟いた。
その後、俺の声が聞こえたのか、後ろを振り向いて手を振っていた。
俺は少し手を上げてから、彼女に真顔で手を振った。彼女はやけに楽しげにしていた。
その変化に気づいていたのに、俺は何もしなかったのが心残りだと今にして思う。
彼女は彼女なりの考えがあったが、その深い意味までは知り由もなかった。
*
私は彼の家にいた。なんでかって……
それには訳があった。彼が学校に来るかを確認するためもあったが、私は昨日学校であったことを話そうと思った。いいことでも悪いことでもない。ただ、彼に話したかったんだ。
昨日、私は学校に行って、まずはあの幼馴染二人に話しかけた。
「……今いい?」
私は二人が座っていた席に行き、お昼時間話しかけた。
「…うん、いいよ」
桃が真顔で返事をして、お茶を一口飲んでから答えた。
朱は、ただ頷いていた。私は正反対な答えに二人が何を考えているか分からなく、心の中では言葉にするのに戸惑った。
「……あの時はなんで私に声をかけてきたの?」