離婚したから、人肌が欲しくなったのか分からないが……
酒に溺れる日々だった。それが今日で俺と母の二人の生活が記憶からなくなってしまうなんて思いも知らなかった。
俺は下を向いたまま、トボトボと歩いた。
歩いていたら、前を向いていなかったので、電柱に激突してしまった。
「……痛っ……」
俺は両手で頭を抱えて、しゃがみこんだ。
「…痛い」
しゃがみこんだ俺は下に俯いて、この痛さを噛みしめていた。
俺は地面を見つめてさっきほど母さんに言われた言葉が地面に書かれているように見えた。
お兄ちゃんの友達? 嬉しそうに兄貴の服の袖を掴み、微笑んでいたことが思い浮かんだ。
地面に浮かぶ母親の姿は今まで見た中で最高の笑顔だった。
それが母親にとってはいいことなのに、息子の俺の立場からしたら嬉しくはない。
忘れられてしまったのだから。頭を両手で抱えてうずくまっていたら、雨が降ってきた。
小雨でポツンポツンと俺の頭に落ちてくる。
立つことさえ出来ないので、雨をよけるなんてどうでもよかった。今はこの気持ちを洗い流したい気分だった。俺の気持ちを表すように雨が激しく降ってきた。
ザァザァザァザァ ザァザァザァ
座り込んだまま俺は雨に打たれた。打たれても俺は動けないでいたのだ。
動いたら、現実に戻らないといけないからだ。雨の音だけ、響き渡る。
夏の暑さと雨が降って、一層じめじめして肌に張り付いた。周囲には誰もいなかった。
雨の音だけが俺の体中に鳴り響いたのだ。すると、急に音がしなくなった。
俺は顔を上げると、そこには青色の傘を差した今宮が立っていたのだ。
「今宮………」
俺は今宮を呼び、傘をさしている彼女の顔を見た。心配そうに眉を下げて、俺を見ていた。
「ここで何してるの? 濡れてるじゃない。うわぁ、びしょぬれ」
酒に溺れる日々だった。それが今日で俺と母の二人の生活が記憶からなくなってしまうなんて思いも知らなかった。
俺は下を向いたまま、トボトボと歩いた。
歩いていたら、前を向いていなかったので、電柱に激突してしまった。
「……痛っ……」
俺は両手で頭を抱えて、しゃがみこんだ。
「…痛い」
しゃがみこんだ俺は下に俯いて、この痛さを噛みしめていた。
俺は地面を見つめてさっきほど母さんに言われた言葉が地面に書かれているように見えた。
お兄ちゃんの友達? 嬉しそうに兄貴の服の袖を掴み、微笑んでいたことが思い浮かんだ。
地面に浮かぶ母親の姿は今まで見た中で最高の笑顔だった。
それが母親にとってはいいことなのに、息子の俺の立場からしたら嬉しくはない。
忘れられてしまったのだから。頭を両手で抱えてうずくまっていたら、雨が降ってきた。
小雨でポツンポツンと俺の頭に落ちてくる。
立つことさえ出来ないので、雨をよけるなんてどうでもよかった。今はこの気持ちを洗い流したい気分だった。俺の気持ちを表すように雨が激しく降ってきた。
ザァザァザァザァ ザァザァザァ
座り込んだまま俺は雨に打たれた。打たれても俺は動けないでいたのだ。
動いたら、現実に戻らないといけないからだ。雨の音だけ、響き渡る。
夏の暑さと雨が降って、一層じめじめして肌に張り付いた。周囲には誰もいなかった。
雨の音だけが俺の体中に鳴り響いたのだ。すると、急に音がしなくなった。
俺は顔を上げると、そこには青色の傘を差した今宮が立っていたのだ。
「今宮………」
俺は今宮を呼び、傘をさしている彼女の顔を見た。心配そうに眉を下げて、俺を見ていた。
「ここで何してるの? 濡れてるじゃない。うわぁ、びしょぬれ」