俺は適当に返事をして、袖をまくってから買ってきた食材を台所に置いた。
「……うん」
 母さんはただ返事をしていたが、俺が台所に向かっている時、母さんは俺を睨むようにしていたのだ。
 俺は夕食を作り始めた。今日は簡単に野菜炒めにした。
 人参・キャベツ・キノコ・肉を炒めて、しょうゆで味付けをして、すぐに出来上がった。
「はい」
 俺は皿に持った野菜炒めを母さんに渡して、テーブルに箸をおいた。
 母さんは嬉しそうに箸を持って、一気に食べてからソファーに横になっていた。
 俺はかぶりついて食べる母さんを真正面で見ながら、食べた。
 食べ終わると、テーブルに置いてあった食器類を洗って、今日の出来事を考えた。
 今日は学校を休んだのには理由があった。
 ただ嫌だからじゃない。母さんが病院に行くからだ。
 異常がある訳ではないが、酒に溺れているだけではなく、何か問題があるのではないかと思ったのだ。
 俺は家から歩ける距離にある病院に連れて行った。
 いろんな検査を受けて終わると、俺だけ医者に呼ばれた。
 医者の話を聞くと、うつ病と診断された。
「お母さまはいつから酒を飲んでますか」
 医者はデータを入力してから、俺の方を向いて聞いてきた。
「二年前からです」
 俺は答えると、医者はそうですかと答えてから医者なりに見解を話し始めた。
「うーん。毎日酒を飲み続けて、不安を酒で満たしてきているのでうつ病が進行してきています。薬を服用してある程度抑えられますが、うつ病ということは意識して関わってください。何かあるか分かりませんから。あと、他にご家族の方がいらっしゃったら伝えてください」
 医者は未成年である俺には母さんを任せられないと思ったのだろう。
 保護者はもう一人いないかと聞くのはいいけど、俺らの事情というものもある。