工藤はなんで学校に来なかったのだろう。
　朝礼が終わった後、自分の椅子に座り、何気なく六弥くんを見ると、目があった。
　多分、お互い聞きたいことは同じだろう。
　目があうと、お互い立って、教室の後ろの方で向かい合った。
「工藤はどうしているか分かる？」
「分からないから、六弥くんに聞こうと思ったんだけど…やっぱり品川先生に言ったのは本当だったのね」
「…今宮さん疑ってたの？」
「だって…もし知っていたら品川先生は工藤の家に電話するでしょ。すると、工藤の居場所が知られてしまうから何も言わないのかなと。違かかったのね」
　私は六弥くんの目を見ると、本当に工藤がなにで休みなのか分からないようだった。
　一体、学校休んで何をしているのか。
「僕は今宮さんは知っていると思った」
　六弥くんは微笑んで、私を見てきた。
「なんで？」
　私は首を傾げた。
「今宮さんは工藤にとって特別だから」
　自分の靴を見てから、六弥くんは私を見て言ってきた。
「………そんなことはないよ」
　私は両手で左右に振って否定をした。
「…まだ知れてないみたいだね、工藤について。工藤は今宮さんが思っているよりも
心の淵より深い所にいるから。それを救ってくれているのがあなただよ」
　六弥くんは訳が分からないことを言っていた。心の淵？　深い所？　そう言ってから六弥くんは自分の席に戻っていた。この言葉の意味が分かるのは、私が工藤の本当の姿を知れた時だった。私はそのあと椅子に座り、隣にいる工藤がいなく授業を抜けて、工藤を探したかった。
　だけど最近、学校早退したりすることが多いから、出席日数が危ない。
　三日くらいは早退したり、途中で帰ったりしたからこれ以上休めない。
　一限目は数学だから、自分の机の中に教科書があるので、それを取って机に置いた。
「はい、始まるぞ～。席着け～」