今日はご機嫌がいい。昨日はやけに怒っているようだった。
 最近、上がったり下がったり気分の変動が激しい。
 酒を飲んでばかりで変になったのかと思っていたが、最近は特に変だ。
 明日、病院に連れていく予定だが、母さんをどう連れ出すか重要だ。
 気分の変動がおかしいので、検索するとうつ病、躁うつ病などが出てきた。
 心配になったので、病院に行くことにした。
 野菜など材料を切って、味付けをして煮込むと、カレーが出来上がった。
「できたよ」
 床に座っていた母さんに言うと、俺が持っていたスプーンを母さんに渡した。
 母さんは、いただきますと手を合わせて豪快に口に入れていた。
俺はその姿を見て、口を緩めた。酒に酔っている母さんでも俺が見てきた母さんの性格だ。素直で優しい。それは離婚してからも今も変わりない。母さんは食べた後、すぐに眠りについた。歯磨きもせずに着替えもせずに床で寝ていた。
 俺はその姿を見て、独り言を呟くように母に言った。
「今日、兄貴に会ったよ。相変わらず元気にしてるよ。生活費は出してくれるらしい。いつになるか分からないけど……。だから心配しないで」
俺は母さんにそう言ってからお風呂に入って歯磨きもして自分のマットを敷いてから寝た。母さんは寝ていなかった。
 俺の独り言が聞こえていたのだ。目を開けて母さんは横になって、俺の言葉を聞いていた。
 母さんがまさか聞いているとは思わなかった。