「母さんもそういうことあったんだけど、その子と向き直して話してみたの。女子はグループを作らなくちゃいけないと思い込んでいて拒否された時はすごい悲しかった。話をしてみたら本当の真実は違かった。本当に仲良くなりたい。周りの雰囲気に流されてしまったけどって。女子グループを作る意味は、昔も今も変わらないと思う。グループを作る意味は、女子の特性上で辛いこともあるけど、楽しいこともあったと思う。今思えばね」
 母さんは学生の頃のことを頭の中によぎらせて、一つひとつ言葉にしていた。
 母さんもそういう経験があったとは知らなかった。
 明るくて誰とでも親しくなれる人だと思っていたから。
 意外にも話してみないと分からない。話してみないと。
 そうか。私も今日話した幼馴染二人ときちんと話をしていない。
 二人から話しかけてくれたのに、私はあまり声を発していない。話すか。
 今野琳達の時は、発しないのに徹していたから。
「…ありがとう」
 私は母さんに礼を言った。
「こんなんでいいの? なんかに参考なった? 宙。無理してるんじゃない?」
 母さんは眉間を寄せて私を心配そうに聞いてきた。
「大丈夫」
 私はそう言うと、母さんは私の手を握った。
「大丈夫じゃない時は言うのよ。工藤君も心配してたわよ。宙を見つめて、何か言いたそうだったわ」
 母さんは私のことを目を細めて、聞いてきた。私を心配そうにしてくれるのはありがたいし、感謝しかない。 母と私は親子関係だとしても、違う人間。
 母のアドバイスは私にとって、今心に響いた。私は私なりに出来ることをやっていく。
 私は自分の部屋から出て、母さんとリビングに向かった。
           *
 一方で、工藤は。授業が終わり、放課後になったが、今宮が目を瞑ったままだった。
「おい、起きろ。帰るぞ」