「あ、起きた。よく寝れた?」
 母さんは私に水を持ってきてくれたのか、コップの中に水が入っていた。
「うん、あのさ、私どうやって帰ってきたの」
 返事をすると、母さんはコップを小さいテーブルに置いて近くにあった椅子に座って腰を掛けていた。
「…あー、同じクラスの誰だっけ。あっ、工藤君。あのこ優しい子ね。送ってもらったのよ。あんた寝てたし」
 母さんは彼の言った言葉を思い出すかのように私に言ってきた。
「なんか言ってた?」
 私は母さんに聞いた。彼がなにか言わなかったのかと心配になった。
「あー授業終わったら寝てて、そのままだったからおぶってきたって。優しいわね。会ったらちゃんと礼を言うんだよ」
 母さんは頬に手を当てて宙が羨ましいわぁと独り言を言っていたが、私は工藤に送られたことに関する記憶がなかった。
「うん。あのさ聞きたいことあるんだけど」
 私はベットに座り、母さんに聞いた。
 なに? と母さんは首を傾げていた。
「母さんは友達になったと思ったのにそうじゃなかったことある?」
 母さんに私は聞いた。学生時代の人間関係について。
 母さんには聞いたことはなかったから。
「え? なにいきなり。うーん、そうね、あるよ。だけど、それが本心じゃないと思うよ」
 母さんは腕を組んで、そう言い切った。
「なんでそう言いきれるの?」
 私は母さんに聞いた。そう言い切れるのは、何か確信を得ているからだ。