隣にいた工藤は、お昼になるとすぐに出て行っていない。
 居たのは六弥くんはいた。あのグループの中で友達と弁当を食べていた。
 六弥くんは私を見てから机の中に入っていた携帯を手に取り、誰かに連絡していたようだった。私は一人教室で立ち尽くしていた。今野琳達は私を見て、笑っていた。笑うって…なんで平気に笑うの。もしかして、これも今野琳達の仕業なの。
 クラスメイトは私を見てから、売店で買ってきたパンを頬張っていたり、家から持ってきた弁当を口にしていたり、友達と仲良くおかず交換していたりなど楽しい様子が見受けられた。
 私はその様子を見て、何の感情も抱かずにはいられなかった。
 負の感情と正の感情が混在していて、誰に怒ったらいいのか、何も言わずにここから去ればいいのか。私は耐えられずに座りこもうとした時、工藤に支えられた。
 彼は私の背中を右手で支えてから、私の耳元で一言囁いた。
「…しっかりしろ」
 彼はそう言ってから、私の顔を見て起き上がせてくれた。
 私は彼を見て、何も声を発せなかった。
「…行くぞ」
 彼はただ一言そう言ってから、教室から出た。
 これで二度目だ。助けられたのは。彼の強い手を引いても、私は拒むことはできなかった。
 誰でもいいから…私の味方が欲しかった。それだけの理由だ。理由なはず。
 どこまで走っていくのだろう。私たちは走ることでしか逃げ場がない。
 真っ直ぐの廊下を走る度、先生がいて、こらー、何やってんだ! ここは学校だぞと先生の怒鳴り声が一歩足を踏み出すと響き渡る。
 彼はどこまで行くつもりなのか。学校の屋上にある小部屋まで連れていかれた。
 屋上は学校にあるのは知っていたが、屋上の小部屋まであるとは知らなかった。
「小部屋?」
 私は屋上のてっぺんにある小部屋まで案内された。