家に帰ったら、私は部屋で息を整えてから、リビングに行くようにしている。
「ふぅ」
　私は深呼吸を繰り返してから部屋のドアを開けて洗面所で手を洗い、リビングに向かった。
「宙。ちょうど出来たぞ。ジャ～ジャア～ン。オムレツです。宙好きでしょ」
　父さんは出来上がったオムレツをテーブルに並べていた。
　それから、フォーク・スプーンを綺麗に並べてセッティングしていた。
「好きっていうか…父さんが唯一作れる料理だからでしょ」
　私は自分専用のコップを持ち、蛇口から水を出してコップに入れる。
　それをゴクゴクと飲み干して、リビングにあるテーブルに置いた。
「まぁ、そうだが…宙も好きだろ」
　父さんは間を置いてから、答えていた。
　その通りだと言いたくないのか、話を逸らして私に聞いてきた。
「…食べよう」
　私がそう言うと、父さんはよしと声を発してから椅子に座って、いただきますと両手を合わせて二人で食べた。
　おいしいと私は父さんに言うと、嬉しそうに頬を赤くしていた。
　食べ終わったら、父さんと茶碗洗いを交代でしていた時、母さんが帰ってきた。
「ただいま～。今日はオムライスだよね」
　母さんはそう言ってから、靴を脱いで、リビングにあるソファーに横になった。
「今日もお疲れ様。疲れた？」
　私は屈み込み母さんに言うと、母さんはやつれた様子であった。
　仕事頑張ってるのはありがたいけど、無理しないでほしい。
「疲れたよ、わが娘よ。学校はどうだい？」
　母さんは私を抱きしめた。私は母さんの背中をさすった。
「…うん、なんとかやってるよ」　
　私は頷いて、声を発した。母さんは私から離れて、ほっとした表情を浮かべていた。
「それはよかった。あ、なんかあったら言うんだよ」
　母さんがそう言ったので、私は母さんを見た。その様子を見た母さんは私の背中を叩いた。
「はいはい。私宿題するから」