変わらない毎日を過ごしている中、春と夏の間の匂いが混じっている季節になった。
 私は今野琳達のグループにいた。
 今野琳達だけは話をして、私は黙ったままの関係が続いていた。
 そんな中、三日前に私から連絡があった。
 誰かと言うと、海外に留学している友達からラインが入っていた。
 久しぶり。元気にしてる? 私は元気だよときていた。
 海外に留学していた友達は、中学校まで一緒だった。
 高校に入ってからは、アメリカで学びたいことがあると言って、元気よく去っていた。
 私も新しい学校に入ったら新しい友達を作ると意気込んでいたのに、今は仲良くのないクラスメイトと一緒にご飯を食べていた。
 ラインには一言だけではなく、現地の写真1枚、満面な笑みで映っていた。
 楽しそうに学校生活を送っていてよかった。
 海外に留学した友達と比較すると、私はちっぽけだ。
 教室の隅にいる日陰の存在。誰かのグループにいなくてはならないというひっ迫感。
 一人でいる孤独。仲良くなっていくクラスメイト。
グループに存在はしているが、私はひとり。誰かと仲良くならないといけないのになにもできない私に焦りが生じている。
 ひとりでいるよりも誰かといたほうが苦しい思いを軽減できるので、仲良くないグループに所属しなくてはならない。
 しなくてはならないという気持ちは学校生活だけなのか分からないが、教室の存在がそうさせるのだろうか。
 思春期だからか。そのしなくてはならないという意義が私を苦しめている気がする。
 私はこのグループの中で楽しみを見出していない。
 孤独という波に耐えられないから、誰かといたいだけなのかもしれないと思えてきた。
 授業の休憩十分の間で、自分の机で考え込んでいた。
 工藤はそんな私に何気なく声をかけてきた。
「何考えてるの?」
「…いや…何にもないけど…」
 私は言葉を濁して、目を泳がせた。
 工藤が聞いてくるとは思わなかったのでごまかして何事もなかったかのようにふるまった。
「…その顔は何か考えてる顔だよな。あ、もしかして人間関係か」
 私の顔を覗き込んでから工藤は私の心を読み取ったかのように聞いてきた。
 私は目を丸くして工藤を見つめる。
「……なんで」
「考えてるのは大体学校でのことでしょ」
 工藤は机に突っ伏しながら私の方を向いて、目を見開いてそうでしょ? と言わんばかりに私に伝えてきた。
「………っ」
「…クラスにでもいるだろ、仲良くなれる奴。ほら」
 工藤は廊下側にいた女子たちを指をさして、言っていた。
 あの二人組は二人とも幼馴染で仲いい。成績もよくて性格もいいとうわさが流れていた。
「あの二人は…」
 私はあの二人を見ながら、工藤と話す。
「そう。この一週間、あなたのことをチラチラと見てる」
 工藤はうんと頷いた。二人のことを教えてもらい、私が二人を見ていると、二人は持っていた本を顔で隠した。
「え?」