私はその様子を朝から見せられて、ただ無言で箸を進めていた。

「いやだ、もうお父さんたら。ヤダ、もう!!あ、宙、時間じゃない」

 母も嬉しい表情を浮かべて、やだもうーとにやけてから私に伝えた。

「あ、ほんとだ。行ってきます」

 私はリビングの時計を見てから、靴を履いて出た。
 外から出ると、雲行きが怪しく、雨が降りそうだった。

 ポツポツと雨が降り出してきたので、家から持ってきた傘を開いた。

 歩く度に、雨の音が響き渡る。

傘にあたった雨はポツンポツンと染み渡っているかのように落ちていた。

私はその音を聞きながら、これから行く学校に思いを馳せる。

 学校に着くと、傘を畳んで玄関に置かれている傘だてにしまう。

ガラッと教室の扉を開けてみると、そこにはグループができていた。

 え? 昨日始まったばかりなのに、もうグループが……

 昨日話した子は、私の前の子だから。あ、いた。私は自分の席に座り、今野琳を探した。

 今野琳は仲良くなったクラスメイトとお話をして、笑っていた。

 なに話してるんだろう。楽しそう。いいなー。私も誰か話せる人いないかな。

 キョロキョロと周りの様子を見ると、隣に座っていた男子と目があった。

 な、なんだ。こいつ。

 顔を机につけて寝ているかと思いきや、いつの間に目を開いてこちらを見ていた。

「……なに?」

 私は自分の席に行き、立ったまま隣に座っている男子に聞く。

 男子は何も返事をせずに、また机に臥していた。

 なんなのよー!! 私が友達も出来ずに、哀れに思ってみたのか? 

 ため息をついてから、私は自分の席に座った。

 すると、クラスメイトと話していた今野琳が私の所に来て、声をかけてきた。

「おはよう。宙ちゃん。今日からだね、お昼一緒に食べようね。あと、さっき話していた子たちもいい?」