「…本当はどこか行こうとしたんじゃないの。でも、私がコンビニにいたから寄ったんじゃない?」
私は口内の中にサイダー味を舌で確かめながら、隣にいる工藤を見る。
「……そうじゃない。ただの気まぐれだ」
工藤はアイスを舐めるのを一瞬やめてから、私に落ち着いた声で発して空を眺めていた。
工藤は気づいていない。私の答えの返事が遅れて、声を発したのだ。
工藤は私がいるのを見て、コンビニに寄ってくれたのだ。私は想像した、工藤の姿を。
私がコンビニに入ると、ウロウロしている私を外で見かけて、入ってきたのかと思うと、笑えてしかたない。
「なに笑ってんだ」
工藤は私一人笑っていたのを不思議に思ったのか、口を開けて見ていた。
「別になにもないよ。工藤こそ、どれだけ空眺めているの」
私はクスクスと笑って、工藤に伝えた。
「見てると、何もかも忘れられるから」
工藤は切ない表情で青い空をボッーと見つめていた。
さっきのことは何もなかったように感じられた。
「…だからって、空眺めてても変わらないよ」
私はそう言うと、工藤はやっと私と目が合った。
「…あいつに何度も聞かれた。家族がどうかって。月に一回は聞かれる。今日みたいにクラス全体で聞かれた時はすごく腹が立ったし、やめてくれと頼んでも今日と同じことを繰り返す。さすがに二度目だから言っても無駄だと思った。俺の想いとかは全く気にしていない。ただ教師の立場でやらなくちゃいけないという考えしかないんだよ」
工藤は顔を上げたまま、食べ終わろうとしているアイスクリームを口内に入れてから、上体を起こして立ち上がった。あいつとは、品川先生のことだ。
「クラス全体で聞かれたのって……去年?」
私は高校生になってから一回も工藤の家族についてクラス全体で聞くことはなかった。
今日知ったのだ。だから、去年かと思ったんだ。
私は口内の中にサイダー味を舌で確かめながら、隣にいる工藤を見る。
「……そうじゃない。ただの気まぐれだ」
工藤はアイスを舐めるのを一瞬やめてから、私に落ち着いた声で発して空を眺めていた。
工藤は気づいていない。私の答えの返事が遅れて、声を発したのだ。
工藤は私がいるのを見て、コンビニに寄ってくれたのだ。私は想像した、工藤の姿を。
私がコンビニに入ると、ウロウロしている私を外で見かけて、入ってきたのかと思うと、笑えてしかたない。
「なに笑ってんだ」
工藤は私一人笑っていたのを不思議に思ったのか、口を開けて見ていた。
「別になにもないよ。工藤こそ、どれだけ空眺めているの」
私はクスクスと笑って、工藤に伝えた。
「見てると、何もかも忘れられるから」
工藤は切ない表情で青い空をボッーと見つめていた。
さっきのことは何もなかったように感じられた。
「…だからって、空眺めてても変わらないよ」
私はそう言うと、工藤はやっと私と目が合った。
「…あいつに何度も聞かれた。家族がどうかって。月に一回は聞かれる。今日みたいにクラス全体で聞かれた時はすごく腹が立ったし、やめてくれと頼んでも今日と同じことを繰り返す。さすがに二度目だから言っても無駄だと思った。俺の想いとかは全く気にしていない。ただ教師の立場でやらなくちゃいけないという考えしかないんだよ」
工藤は顔を上げたまま、食べ終わろうとしているアイスクリームを口内に入れてから、上体を起こして立ち上がった。あいつとは、品川先生のことだ。
「クラス全体で聞かれたのって……去年?」
私は高校生になってから一回も工藤の家族についてクラス全体で聞くことはなかった。
今日知ったのだ。だから、去年かと思ったんだ。