うん? と首を傾げてから、また机に突っ伏して工藤は私を見ながら声を発した。
「…そう」
 私は工藤に返事をした後、先生が教科書を読んで解説していたのを耳で聞いて、教科書に書き込んだ。
 隣にいる工藤を見ると、また寝に入っていた。私はため息をついて、彼を見た。
 授業の話なんて聞いてもいない。目を瞑って寝ているようだった。
 だけど、彼は助けてくれた。何を考えているかよく分からないけれど、私とは関わりたいと思ってくれるのは少し嬉しい。
 そんな中、授業が終わり、すぐお昼時間になった。
 お昼は今野琳達と昨日は何事もなかったように誰とも話さずにお弁当のおかずを口にした。
 クラスの周囲を見渡すと、工藤はどこにもいなかった。食堂でも行ったのか。
 うーん、私は箸を止めて、顔を左右に動かしたが、いなかった。
 六弥くんは男子と仲良く話をしていて、財布を手にしてどこかに行こうとしていたので、私はまだ弁当は残っていたが、鞄にしまいこんだ。鞄にしまって、六弥くんの元へ駆け寄る。
「今から買い物?」
 私は六弥くんに聞くと、彼は目を丸くしていた。
「うん、飲み物買いに」
 六弥くんは財布を上にあげて、言っていた。
「そうなんだ。私も行ってもいい」
 私は制服のポケットに入れていた小銭入れをあるのかを確認して、六弥くんに聞いた。
「いいよ、行こう」
 六弥くんはいつもの微笑みを浮かべて、売店にある自動販売機で飲み物を買った。
 ドリンクを買うと、再び教室へ戻るため歩いた。
「六弥くんは工藤と同じクラスだけど、一緒に行動とかしないんだね」
 私はドリンクを片手に持ち、六弥くんの表情を見た。
「男同士だから常にいるわけじゃないからね。工藤は一匹狼だから、僕とはそんないたくもないのかな」
 真正面を向いて、歩きながら、あははと苦笑いをしていた。