今野琳はスカートの中に入っていた携帯を出して、私に教えてといわんばかりに両手を合わせてお願いと言って私に聞いてきた。
「いいよ、はい」
 私は素直に連絡先を聞いてくる今野琳が羨ましくなった。
 今野琳の性格だったら、私はクラスメイトともすぐに仲良くなっただろうか。
 私はすぐ返事をして、スカートのポケットから携帯を出して、ラインを開き、携帯をフルフルさせて振動をした。
 すると、今野琳の連絡先が出てきて、友達と撮ったであろうプリ写真がアイコンにあった。
 私のアイコンは自分の顔ではなく、食事をしたものではなく、私が好きな飴のアイコンだ。
「飴、好きなんだね。私もこの飴好きだよ」
 今野琳は私のアイコンを見て、微笑んでいたので目を細めて言っていた。
「ありがとう」
 私は今野琳の様子を見て、口角を上げて感謝を伝えた。
「宙ちゃん。今日、連絡するね」
 まだ二回しか話していないのに気さくに、宙ちゃんと呼び、手を振ってから、クラスメイトに話しかけていた。
「うん、じゃあ、また明日」
 私は嬉しくて手を振ってから、クラスメイトに話しかけた今野琳を見送った。
 教室に戻ったら、担任の品川先生は、明日の予定をクラスメイト全員に伝えた。
 明日のホームルームで自己紹介をします。簡単に考えてねー、あと、教材は明日渡しますからねと品川先生は元気な声を発した。
 クラスメイトは終わったら、一人で帰る人もいれば、仲良くなったクラスメイトと一緒に帰る人もいた。
 私は一人で学校を後にした。隣の席の男子はまだ寝ていた。
 もう帰っていいのに机に突っ伏したままだった。家に帰ってきたら私は手を洗いうがいをした。テーブルにビスケットがあったので口に運んだら、テーブルに置いた自分の携帯のバイブ音が鳴った。今日は初日から楽しかった。
 宙ちゃん、また話そうねとラインが送られてきた。