お昼の時間は私は今野琳達の会話を邪魔しないように密かに椅子に座って、家から持参したお弁当の中身を箸でつまんで、口に運ぶ。
　それを毎日毎日、学校に行って、授業を受けて、お昼を食べて、帰るを繰り返す。
　それだけだ。それだけの私の学校生活。
　そんなことを考えながら、私は母さんが作ったおにぎりを一口食べた。
　食べている間、今野琳達は楽しそうに芸能人の話で盛り上がっていた。
　私はあまりテレビを見ないので、芸能人が誰か分からず心の中でため息をついた。
　前は携帯で調べていたが、もう調べたとしても今野琳達に言っても意味がない。
　声を発しても、ただ私を見て、またクラスメイト二人と話すだけだ。
　すると、いきなり私の横に誰かが立っていた。ソーセージを箸でつまもうとした時だった。
　私の横に影が出ていて、今野琳達が会話をやめていたので、横を見ると、そこには工藤が立っていた。
「………っな」
　私は意外な人物が立っていたので、驚いた。それは、工藤だった。な、なんで工藤が。
「……来て」
　私は目を丸くして工藤を見た。工藤は何を考えてるのか無表情で私に声をかけてきた。
　周囲は身体を動かして私たちの方を見て、なになにが起こってるの？　などのクラスメイトの騒がしい音が聞こえてくる。
「…今ご飯食べてるから」
　私は声を発してからソーセージを箸でつまんで、口に運ぼうとした時、工藤は私の右腕を掴んできた。
「…なにして…、あ、ちょっと待って」
　工藤が私の右腕を掴んだので、落ちそうになったソーセージを弁当箱に入れて、机の右側にチャックをしていない鞄をかけていたので、開いていた隙間からをポンと投げて入れた。
　いきなり、私に話をかけてきて、腕を掴んでどこに行くつもり？
　走ってどこに向かっているのか……。ここって、図書館？
「なに？」
　私は工藤の腕を離して、図書館前に止まり、聞いた。