君の雨が溶ける

 私はそう言ったあと、工藤と六弥くんは残って、私の後ろ姿を見ていた。

「今宮さん。自分から手伝うって言ったんだよ。僕は行かなくていいと言ったけどやるって。だから、工藤。心配してんだよ、それだけは分かってくれよ」

 六弥くんは本当に心配していたのでその思いだけは忘れないでほしくて泣きそうな目で、工藤に伝える。

「………分かってるよ…」

 工藤は私が去った方向を見つめて、六弥くんに返事をしていた。

 何を考えているのか工藤は顔をしかめていたのだ。

 次の日。

 いつも通りに学校に登校しようと玄関を開けて、行ってきますと母たちに伝えて、前を見つめると、そこには工藤が立っていた。

 私は目を丸くして、工藤を見た。

 いつもより朝早く起きたせいか夢を見ているのかと思い、目を擦った。

 擦っていると、工藤の後ろには誰かがいた。

「おはよう。今宮さん」

 六弥くんは私に力いっぱい両手で振って、笑顔を絶やさずに言っていた。

「六弥くん。な、なんで。私の家知っているの?」 

 私は目を見開き、六弥くんを指さして聞いた。

「あー、それは品川先生に聞いたの」

 個人情報保護法、あるの知らないのか。担任は生徒の個人情報、気軽に話していいのか。 

 私はため息をついてから、二人に話しかけた。

「んで、なんで私の家まで」

 私はそう言って、足を踏み出して、門を開けた。

 六弥くんは朝なのにテンション高めで私に話しかけてくる。

「まぁ、この前のお礼を兼ねて、工藤と一緒に登校しようと思って」

 工藤の肩をくるませて、六弥くんは微笑みながら私に言ってきた。

「いいです、そんなことしなくてもいいです」

 私はそう言うと、工藤が思いがけない一言を放つ。

「俺、お前と話したい」

 工藤は真顔で私に言ってきた。

「はい?」

 私は口を開けたまま、工藤に返事をした。