君の雨が溶ける

 六弥くんは学校から出ると、学校とは反対方向のどこかに向かっているようだった。

 私は六弥くんの後をついていくかのように、駆け足でかけた。

 向かい風が私の髪を揺らして、息を切らした。

 着くと、そこはコンビニ店が小さい町中にひっそりと潜んでいた。

 ビルなどが溢れているのに、小さい狭い小道があったのだ。

 学校からそんな遠くないのに小道を通るとそこはあまり人通りがなかった。

 コンビニ店の看板が汚れていて、あまり人が来なそうな感じであった。

 六弥くんはカランカランとコンビニのドアを勢いよく開けた。

 そこには、コンビニ男性店員一人だけがいた。

「いらっしゃいませ~」

 元気よくお客に挨拶をして、商品の確認をしているのか手元に持っていたプリンと片手で商品のシートを交互に見ていた。

「…あの、この子見たことありますか」

 六弥くんはズボンに入っていたのか左手で写真一枚取り出して、男性店員に見せていた。

「…えーと、あー緑色のマフラーしていた子ですかね」

 男性店員は写真を手に取りマジマジと見て、頭の中で考えながら声を発した。

「…いつ見ましたか?」

 目を丸くして六弥くんはテーブルをバンッと叩いて、脅すかのように聞いていた。

「…あー、三日前ですかね。なんかを探しているようでしたけど、店内にはないと分かって…すぐ出て行きましたよ」

 男性店員は肩をビクッと上げてから、小さい声を出して、六弥くんに伝えた。

「どこに向かいました?」

 六弥くんは大きい声を出して、男性店員に聞き出す。

「右方向に歩かれていきましたよ」

男性店員はなんかがあったのかと思ったのか、優しく右手で指をさして六弥くんに言った。

 すぐに、六弥くんは走り出した。

 私は六弥くんの隣にいて見ていたので、六弥くんは男性店員を少し見てから黒目を動かして何かを思い出したかのようにまたどこかへ向かっていた。