君の雨が溶ける

 今野琳達とは一緒のグループであるが、ただいるだけで私の存在意義はない。

 空気みたいな感じだ。ただいても、なにも存在していない。

 十分休憩もお昼もいるだけで、何も言葉を発してない。声が出てこなくなりそうだった。

 終礼が終わり、自分の鞄を肩にかけようとした時、今野琳達の声が響き渡る。

「ねぇねぇ、今日はコーチ来るらしいよ。しかも、男だって」

 今野琳は他のクラスメイト二人とバトミントン用のラケットを手に持ち、嬉しそうに伝えていた。

「そうなんだ。どんな人かな。ってか、練習厳し過ぎたらやる気もなくなるよ」

 他のクラスメイトは今野琳をまばたきをして見てから、バトミントン部の練習について思い出しながらため息をついていた。

「ほんと、それ。バトミントンするのは楽しいけど…高校生ってやることいっぱいあるんだよって知らせたい」

 うんうんと頷きながら他のクラスメイト一人は、遠い未来を見つめて、言葉を発していた。

 今野琳達は、バトミントン部に入った。

 部活動について聞かれた次の日には見学を済ませて、部員届を出していたのだ。

 私にはもう聞いてこなくなった。何もかも……

 今野琳達は部活動の話をしながら、教室から出ていた。 

 教室には誰もいなく、部活動やバイトがあるのだろうか。

 クラスメイト一人ともいなかった。

 私は教室を見渡してから、自分の鞄を肩にかけて、図書室に向かった。

 図書室にはいつも同じ席に座っている人や、悩んで本を選び一人で読んでいる人など当たり前だが学年男女問わずいる。

 その空間だけが、私の中だけの世界でいられるのだ。

 定位置に座っている窓際の椅子に私は座り、窓から見える眩しい光とゆっくりと動いている雲たちに見守られて、鞄から教科書を出す。

 昨日YouTubeで流れてきた音楽を私なりのアレンジで歌っていたら、後ろから声がした。