君の雨が溶ける

 私は身体を母さんの方に向けてから笑みを浮かべて、私の方を向いていた母さんと面と向かい、なんともない様子で声を発した。

「…ならいいけど………」

 母さんは少し眉をひそめながら、返事をして、途中だったハンバーグを焼き加減を確かめながら作っていた。リモコンを持ち、テレビ番組をつけた。

 まだ十八時になっていないので時間が中途半端で、どのチャンネルもCMが流れていた。

CMをただ見つめて、カラフルに溢れた画面を見続けながらニュースになるのを待っていた。

 急にニュース番組が始まった。
 
 何かと思えば、ニュース速報だった。

 ニュース速報です。今日女子高生がストーカーに襲われる事件がありました。

 命に別状はありませんが、最近はストーカー被害が多くあるので気をつけてください。

「最近、多いわね、変な事件。気をつけるのよ、宙ちゃん」

 母さんは両手をエプロンで拭き、テレビ画面を見ていた。

 テレビ画面のニュースを見て、母さんは険しい表情を浮かべて、ため息をついていた。

「そうだね。気をつけるよ」

 私はテレビを見ながら、母さんに返事をした。このニュースを見てから、私はこう思った。

 ストーカー被害を受けたのは私と同じ高校生でこんな被害を受けたくてなった訳じゃない。

それと同時にそんなに好きで付きまとうことの好意は狂気にもなるし、幸せにもなれない。

私は胸の中で人に想われることを羨ましさとともに、人に好かれるのは恐怖を感じた。

 そのあと、父さんが帰ってきて、夕食を家族全員で囲んだ。

父さんは今日あったことを娘の私になんともなく言って、楽しそうに仕事の話をしていた。

辛いこともあるはずなのに、笑って話せるなんて、私には出来ない。

 ……一人で我慢するしかない。

 そう思いながら、私は食べ物を口にした。

 夕食を食べたあと、私は自分の部屋に戻った。