今野琳は公式ホームページを検索して、自分の携帯を右手に握りしめながら、みんなに言っていた。
「いろんなドラマに出てたりするよね、カメレオン俳優とか呼ばれてるらしい」
 他のクラスメイト一人も頷きながら、自分で検索したのか携帯を見て、ウキウキしていた。
「そうなんだ、ほんとだ。調べてみたらそうだね」
 もう一人の方は頷きながら、同じく調べて、携帯を見ていた。
 私も携帯で調べて、話をしていると沈黙があったので、声を発した。
「……か、カッコいいよね」
 私は小さい声で発して、みんなに言った。
 みんなは顔だけ私を見てから、何ごともなかったように私を除いて、話しはじめた。
 なんで。私だけ話に入れてもらえないの?!
 私なにかした? してないよね。なんで…。
 結局、終礼になっても朝に話した六弥くんしか話せてない。
 なにかしたの? 私が知らない内に。
「じゃあ、終礼はじめます。結局工藤くんは来なかったのか」
 品川先生はため息をついて、工藤の席を見て何かを考え込んでいるようだった。
 それから、係・行事などの話をし終えた後、品川先生はクラス全員にさようならと挨拶して職員室に戻っていた。
 クラスメイト達はざわざわと仲良くなったクラスメイトと話をし、楽しそうに帰っていた。
「気をつけて帰ってねー。あ、今宮さん」
「…はい。なんですか?」
「今宮さんは工藤くんの隣の席だったわよね。これ、工藤くん家に届けてくれる?」
「え……。いや、私そんなに…」
 品川先生に言おうと声を発したが、品川先生はよろしくと軽く手を振って去ってしまった。