男は今までの怒りを爆発させるように私に眉間の皺を寄せて、私に言い放つ。
「……あんたは寂しかったんだね。誰にも構ってもらえなくて。ここまでする必要はあるの? 自分を痛めるだけじゃない」
 私は力強い声で男に言う。
「…うるさい。うるさい……っうるさいんだよ」
 男は頭を抱え込んで、私に拳銃を突き付ける。
 周りの人達はキャー、早く警察呼んで! など大騒ぎになっていてパニックになっていた。
「……図星だから……そんなこと言うんでしょ。誰もあなたにはいなかったの? 大切な人」
 私は口を開いた。男が目に涙を浮かべていた。そんな中、雨が降ってきた。
 ポツポツと雨の雫が私たちの身体全体にへばりつく。
「……そうだよ。俺には大切な人がいた。恋人が…でも……ストーカーに遭って亡くなったんだ。だから、俺は同じようにストーカーになって、恋人と同じように苦しい思いをしてほしかった。殺さない前提でやってたが、もうどうでもいい。俺は俺の判断で決めることにした」
 男は涙を手で拭きとってから、カチッと手で押さえて、私の頭に拳銃を突き付けて言う。
「…そう…だったら、やってよ」
 私は男を見据えて、強気で言い放つ。雨は強く降り注ぐ。
「…なに?」
 男は真顔で私に聞き返す。私と男は雨が強くなってきても、離れることはできなかった。
「…あなたはそう言いたいだけでしょ。誰かに言いたかったからじゃないかと。あなたはストーカーをする人、悪い人。一人で考えて考え抜いて闇に葬られたんだと思います。これであなたは彼女さんの為になっていると思ってるの? 彼女さんが亡くなって、私と会った頃はただの興味本位でやっていたけど、自暴自棄になっただけじゃないんですか」
 私の身体は雨の雫に染み渡されて、拳銃を持っている男を目だけ男の方に向けて、静かに声を発した。
「……お前に分かる訳ないだろ!……バンっ」