六弥くんは学校の近くにいるという、私に会う前に家から工藤から渡されたものを持ってくるという。なので、六弥くんとは前に行った森林に囲まれている喫茶店で待ち合わせすることにした。私は病院着でそのままカフェに寄った。カフェのドアを開けると、カランカランといらっしゃいませと店員の言葉が響き渡る。
 私は椅子に座って待っていると、すぐ六弥くんは来た。
「いらっしゃいませ。一人ですか?」
 店員は六弥くんに聞き、返事を待っていた。
「いえ、知り合いいるので…」
 六弥くんはそう言うと、店員はかしこまりましたと言い、どこかへ去っていた。
「…六弥くん…」
 私は六弥くんを呼んだ。彼が悲しそうにしながら、私の所へ来たからだ。
 いつも笑って、話しかけてくれる彼なのに、幼馴染である工藤が亡くなって、憔悴しきっているようだった。
「…今宮さん…」
 六弥くんは私の様子を見て、呼んだ。
「…今宮さん。もしかして、病院抜け出してきたの?」
 六弥くんは座って、紙袋を隣の椅子に置いた。
「うん。工藤に会いたかったから」
「……会えたの?」
 六弥くんは工藤が亡くなったから会えないとは言わなかった。
 ただ私の話を受け止めるように聞いてきた。
「…うん。それで知ったの。今までの工藤のこと…。六弥くんの言ってた通り。私は工藤にとって特別みたいだった」
 私は六弥くんに今まで工藤が私にしてきたこと、守ろうとしていたことをすべて話した。
 最初は状況がつかめない様子だったが、固まってから考え込んでいた。
「……つまり、君たちは高校入学の時が初めてではなく、小さい時から会っていたってこと。その時に飴を買った今宮さんがたまたま座っていた工藤が受けとった飴によって死と今宮さんの生きる光が与えられた。これで合ってる?」
 六弥くんは私の説明したことを要約して、私に口を聞いてきた。