「亡くなる？　生きる光が見えるってどういうこと？」
　私は工藤が言ったことがよく分からなかった。
　なんでこんな能力が飴にあったのか不思議でならない。
「……俺もあとから知ったんだ。今宮とは小さい頃に会った時だけだったから。この能力は知らなかった。だけど、ある日たまたま、この公園で今宮と会った。今宮は一人でブランコに乗っていた。俺は一人で何してんだろうと思って通り過ぎようと思ったが、今宮を見た時、光が差し込んだ。小さくて今にも枯れ落ちそうなほどの小ささだった。その時、何が起きたのか分からずに立ち止まっていた時、駄菓子屋の店主が言ったんだ。飴を拾っただろう、それが君の運命だ。光が見えるのはブランコに乗っている女の子は、小さい頃に会ったと思うよ。それから、君とあの女の子はもう離れないようになっている。あの女の子からもらった飴が溶けた日には、亡くなると同時に十年しか生きられない。死だけではなく、生きる光をあの女の子は弱くなっている。それを止めるには君しかいないと言われたんだ」
　工藤は飴の能力で、寿命を引き換えに私が生きる力を持たせるためにやってくれたのだ。
　なんでたまたま会った女の子のために、工藤はその使命を受け入れて、ここまで支えてくれたのだろうか。
「……なんで？ そんなの知ったら、無視すればよかったでしょ！」
　私は立って、亡くなっている工藤の方に向かい、言い寄る。
「……出来なかった。あの時、ブランコに乗っている今宮はもうどこかに行きそうだった。消えていなくなるんじゃないかって…ひどくやつれていて、生きる力がなくなってから」
　工藤はブランコに乗っていた私を思い出しながらも、言っていた。
「…確かにあの時は、小学校の高学年になった頃、友達と喧嘩してどうしようもなくなって…それ以来、友達もまともに作れなくなって……。落ち込んでいた時にブランコに乗ったんだ」