「見てるだけでもいいでしょ。俺、死んでるんだから」
 工藤は冷静に私の言葉に突っ込んで、彼は切なそうな表情で口元を緩めていた。
「……じゃあ、聞いてたと思うけど聞いてもいい?」
 私はベンチに座り込んで、工藤に聞く。
「…いいよ」
 工藤は返事をしてから、私の隣に座った。
「私たち、前に会ってるよね?」
 私は工藤の顔色を窺うように、首を傾げて聞いた。
「…ああ。会ってるよ。ここの公園で、ジャングルジムの下に僕は座っていた。その上には君がいた」
 工藤は立ってからジャングルジムの方に行き、昔と同じように座った。
「…私がジャングルジムの上にいて、飴をなめるというより食べていた。……誰かが飴を拾ったのは…覚えている」
 私はベンチに座ったまま、工藤の方に目を向けた。
 だけど、ただ遊んでいた。
 母さんと公園に来て、砂遊びやブランコなどで男の子のように走り回っていた。
 遊ぶのをやめてジャングルジムの上にいて、飴をたくさん持って食べて休憩していたのだ。
「そう。君は、この上にいて、飴玉をいっぱい広げて、たまたま俺がここに座った時に、飴玉が落ちたんだ」
 工藤はそう言っていたので、私は記憶を辿る。昔から、飴を舐めるというより食べていた。
「そう…私はジャングルジムの上で飴を食べていて、誰かが飴を拾ったのは工藤ってこと?」
 私は昔を思い出すかのように一つひとつ言葉に出した。
「…そうだよ。俺だ。君は飴を食べていた、ボリボリと…。それを拾った俺はある能力がついたんだ」
 工藤は足を広げて、両ひざに両腕をつけてから立って、説明し始めた。
「能力?」
「ああ。俺が拾った飴は、あそこの駄菓子屋の飴でそれには、ある能力があった。
飴が溶けた日には俺は亡くなることと持ち主の飴を拾ったら持ち主の生きる光が見えること」
 工藤はどこかを見つめたまま、私に言う。