工藤は私を澄んだ目で言ってきた。彼の言った言葉は、本心だった。
 こんな真剣で真っ直ぐに見つけてきた彼は今まで見たことがあっただろうか。
「……っ、いつから知ってるの?」
 私を彼に歩み寄り、聞く。救急車は呼んだのに、まだ来ない。
「小さい頃、会ったことあるんだ。今宮とは……いや、宙ちゃん…」
 工藤は私に微笑みかけて、地面に倒れこんだ。
「工藤! ねぇ、まだ聞いてないこと沢山あるのに…ねぇ、工藤!!」
 私は大きい声で叫んだ。工藤はまだ生きてる。まだ。
 そんなことを過っていたら、救急車の音が聞こえた。
 私は大きい声で叫んだせいか、急に頭が痛くなり、工藤の隣で倒れた。
 お互い目を瞑って、見つめ合っているかのように寄り添っていた。
 あの男は、どうなったか分からない。
 頭に血が出ていたから、もしかして倒れたかもしれないが、逃げた可能性もある。
 私も工藤もあの男も、生きているのかどうか目を覚めてみないと。
 早く、目を覚まして工藤に聞きたいことがある。
 工藤は小さい頃からって、どこで出会ったの?
 ねぇ、答えてよ。夢でもいいから会いたいよ。
 私だって言いたいこと沢山あるんだよ。ねぇ!!
 私は夢の中で生きているのか分からない工藤に叫んだ。
 すると、工藤の声が聞こえてきた。だったら、目を覚ませよ。俺は今宮の言葉に応えるから。いい加減、起きろ。工藤の声がしたと思い工藤に聞こうとしたら私の目の前に光がさした。
「…分かる? お母さんよ、宙。早く来てください。目を覚ましました」
 私は首で頷いた。母さんはナースコールを押して看護師に言っていた。
 私が目を覚めると、母さんは嬉しそうに見ていた。
 工藤は? どこにいるの? 私は母さんに聞こうとしたが、心配そうに見つめている母さんに何も言えなかった。母さんの隣には、父もいた。