男はマイナスな言葉を口にした。
「簡単に死ぬとか言わないで!」
 私が叫んだ時、悲鳴があっちこっちから聞こえて、周りを見渡すと、車が止まっているわきからトラックが私たちがいる方向に突っ込んできそうだった。
 男も私も手遅れだと分かり、身構えて目を瞑って座り込んだら、ある者が飛び込んできた。
 トラックは私たちに向かってきた。私は目を開けた瞬間、さっきまでいた真ん中の歩道ではなく、ショッピング店が並んでいる歩道の方にいた。男は近くにいて頭からは血が出ていた。
 私は、男は息をしていたのを確認してから、かばってくれた人の元へ駆けつけた。
 道端の真ん中にその人が横たわっていた。
 その人は、頭からも血が出ていたし、体中に傷だらけだった。
 その人の傍に行き、話しかけようと声をかけた瞬間、顔をよく見ると、それは工藤だった。
「……っ、く……ど……う……!」
 私は彼の名前を小さい声で言う。工藤が倒れていたのだ。
 私は唖然とした。なんで、こんな所に工藤がいるの!?
 私は状況が理解できないでいた。工藤はなんで自分の体を犠牲にしてまで、かばったの……
 よく自分自身を見ると、私は両手が震えていた。
 倒れている工藤を抱きしめて、彼の名前を叫んだ。
「…工藤! 工藤! しっかりして!」
 私は目を開いていない彼に呼びかける。
 彼はうぅぅと小さい声で発していたので、彼を再度呼ぶ。
「工藤。…っ…私が分かる?」
 私は震えながらも返事をした。
「ああ」
 今にでもまた目を瞑るんじゃないかってくらい工藤は半ばくらくらした状態で私に言った。
 そんな時に、私を襲ってきた男が大きい声で私たちに向かって、言ってきた。
「…また、お前か!」
 男は血が出てるのに立って、私たちの方に歩いてきた。
「あんた、こいつがなんだか知ってるのか。……こ…いつが、あの時止めたんだよ」