そのため、あまり休む暇はない。

 だが、年に一回楽しみにしているライブがある。

 それは、韓国アイドルのライブだ。coup(カップ)という名前の男性アイドルグループ。

 ライブがなかった時でも1日休みの時は家でYouTube、DVDを見て、お手製の推しうちわを持って、叫んでいる。

 今日がその日なので、楽しみでしょうがないらしい。

「今日楽しみなんだな。父さんも頑張ってこようかな」

 父はそう言って、笑いながら、ネクタイをしめていた。

 おおらかな父は母の趣味を見守りつつ、笑顔溢れる母を見て、終始ご満悦である。

 父は近くにある不動産屋で働いている。入社してからずっと今も不動産屋で勤めている。

 優しく真面目な性格で、母との出会いも父の職場だそうだ。

 意外にも母から父にアプローチしたらしい。

 楽しくほのぼのした家族で微笑ましく思うだろう。

 だけど、母と父が仲良くて、家族仲もいいと思うが、私は一人っ子のせいか分からないが、度々孤独を感じることもある。

「…いってきます。今日は食堂で適当に食べるよ」

 私は朝ごはんを食べて、台所に食器を置き、鞄を手にした。

「あら、そう? 今作ろうと思ったんだけど、いいのね。宙ちゃん、行ってらっしゃい」

 母は後ろを振り返って私に言いながら、笑みを浮かべて口にしていた。

 私は昼食分の食事を作る時間がかかると思ったので、先に外に出て、学校に向かった。

 あら? 本当に宙ちゃん行ったの? と母は言って、父はあなたが話してる時に出ていたよと返していた。

 私は玄関にあった傘を持ち、歩いた。

 学校に向かうため、近くにバス停がある停留所まで歩き、バスに乗る。

 昨日から気づいたことがある。

 同じ学校に向かう訳だから、やはり同じ高校生が多いが、この辺はビルも立っていてサラリーマンやOLらしき人達がわんさか乗っている。