本当はかけたふりをして、警察は呼んでいなかったが、怖がってどこかに消えていたのだ。
 私は何事もなかったように家に帰って、すぐ部屋に籠った。
 部屋に着くと、私はラジオを付けた。
 いつものラジオパーソナリティーが明るい声で聞いている人の心を言葉で鷲づかみにする。
「くっちゃんさんからの投稿です。どれどれ今日はあの人のことはなんて書いているのでしょうか。読んでみますね。今日はあの人は男性二人組に一人でどうにかしようとしていました。だけど、僕は威圧しかできませんでした。あの人の後ろに気づかれないように二人組を睨みつけました。あの人は警察を呼ぶと言って、一人で頑張っていて、僕はあいつらに態度でしか表せなくて、申し訳ない気持ちでいっぱいです。今までのようにあの人を見守っていきます」
 ラジオパーソナリティーは読み上げたあと、少し息を吸ってからまた話し始めた。
「くっちゃんさん。私は思うんですよ。くっちゃんさんの投稿見ているとね、初恋のこと思い出しちゃって。初恋は初恋のままになるけど、後悔はします。何も言わないまま、ただ見ているのはこの年になってもたまに頭から情景が思い浮かぶんですよ。本当に、だから、くっちゃんさん、後悔しないでください。今やるべきことをやったほうがいいですよ」
 微笑みながらラジオパーソナリティーは、くっちゃんさんの投稿を手にして昔を思い出すかのように言っているように聞こえた。
 私はくっちゃんさんの投稿を聞いて、起こった出来事が同じだったから前のめりでラジオを両ひざにおいて、聞き入っていた。
 こんなことがあるのだろうかと思うくらい、一つひとつのピースが同じだったからだ。
 その投稿を聞いてから、私は自分のピースとくっちゃんさんのことを重ねながら聞いていたが、私の後ろには誰もいなかった。くっちゃんさんがどういう人なのか気になっていた。