私は誰かも分からない人の投稿に何故か聞いた途端、涙が自然と零れ落ちていた。
 自分でも驚いた。
 なんでこんなに目に水たまりが出来たように溜まってから頬まで流れていた。
 あの人は自分じゃないのに、他人に思えないのだ。
 その日からくっちゃんさんは毎日ラジオに投稿していた。
 くっちゃんさんの投稿は、あの人のことだった。
 あの人は今日元気がなさそうだ。晴れているのに曇り顔のあの人、どうしたんだろう。
 あの人の光が小さくなってきた。僕のやるべきことなのに、何もできない。
 くっちゃんさんは詩人のようにラジオに投稿していた。
 詩人ではないと思うけど、あの人のことを心配しているが、直接会ったことなどないのだろうか。でも、最初の投稿は初めて会った日のことだ。その後は、見守っているだけなのか。
 私と同じことを思ったのか、ラジオパーソナリティが口にする。
「今は見守っているだけなのかな。それでもいいと思うけど、くっちゃんさん。あの人とは会わないつもりなのかな」
 ラジオパーソナリティは顔は見えないが、切なそうな表情を浮かべて、くっちゃんさんに訴えているのが声のトーンで分かる。
 そうだ、なんでくっちゃんさんはあの人には会わないのか不思議に思えた。
 ある時、くっちゃんさんの投稿と私の起こった出来事が同じ時があった。
 それは、中学二年生の時の放課後、変な人に絡まれた時があった。
「おい、お姉ちゃん達よー。一緒に車に乗ってどこかに行かない?」
 絡んでくる男性二人組は、私一人であったが、通りかかる中学生は目を逸らして
帰宅していた。
「離してください。やめて下さい。離さないなら、警察呼びますよ」
 私は男性一人に腕を掴まれていたので、そう言った。
 鞄に入っていた携帯を取り出して、警察にかけた。
 すると、男性二人組は帰っていた。私が警察を呼んだからかな。