入学式からは楽しみが顔全体に入っていてウキウキと弾んでいたけど。

 これからどうなっていくのか不安な顔つきだった。

 今は教室の中に一人でいることは避けたい。

「なんとかなる、大丈夫。うんうん、宙大丈夫だからね」

 私は自分の顔を見て、ガッツポーズをして自分を慰めた。

 自分の部屋に戻り、いつも聞いているラジオをつける。

 ラジオをつけると、パーソナリティーの方が明るい声でリスナーに話しかけてきた。

 ペンネーム くっちゃんからのリクエスト。

 高校二年生になるはずが留年して高校一年生になったのですが、面白いことがありました。もっと楽しいことが起きそうです。

「くっちゃんさんはいつも面白いこと言って下さいますよね。今度はなんでしょうね。楽しみですね」

 ラジオのパーソナリティーはくっちゃんさんの面白いことはほんとにおもしろいですからねと楽しく笑って言っていた。

 確かに。

 くっちゃんさんは実に面白い。

 高校生なのにいつも同じ内容じゃなく、日常生活で溢れることを入れて、クスッと笑わせてくれる。

 留年って。

 出席日数足りなかったのかな。

 こんな話をきちんと書けるなのなら、頭が悪くはないはず。

 なんでだろう。

 私はラジオを聴きながら、ベッドに横になった。 

 ラジオの音に耳を澄まして、笑みを浮かべた。

 何もかも私の感情を癒してくれた。

 この間に私を除いた人達が密かに仲良くなっていたのを私は知らなかった。

 ここから始まりだった。

 次の日。晴れているのに雨が降っていた。

 いわゆる、お天気雨だ。

「宙ー、今日は雨降るかもしれないから、傘持っていくのよ」

「うん、母さん。今日は午前中で仕事終わるんだっけ?」

「そうよ。母さんが好きなアイドルのライブに行くからね。ぱあばあと終わらせて、帰ってくるわ」

 母は、隣町の病院で看護師をしている。いつも忙しく、夜勤が続く日も多い。