だから、みんなが小さな爆薬を持っているのに、対処法はそれぞれだ。
 対処法を誤れば、命どりになる。私は立ち止まった足を踏み出して、何も考えずに歩き始めた。歩くことは前に進むことで、何かを発見できる。
 学校に入ると、私は昨日同様、自分の席に座り、窓際に見える外を見つめていた。
 校庭で朝なのに友達とサッカーをして、ギャーギャーとうるさい声で騒いでいたが、みんな楽しそうにしていて羨ましそうに私は見た。
 暑いけど、みんな表情が明るくて、溌剌としていた。
 友達と遊ぶなんて、そんなことしたことがない。
 留学している子とは仲いいけど、どこかに遊んでいくなんてしたことがない。
 私は頬杖をついて、微笑んで見た。
 私だってみんなが当たり前にしていることをしてみたい。
 私は目に涙を浮かべて、クラスメイトがいるので涙を我慢して、目を擦って黒板の方を
見て、自分を立ち直した。前はすぐ教室から出て、何もかも全てを捨てたい気分でいたが、今は違う。誰かがいるということがどれだけ強くなれるか、私は分かった気がした。
 この教室には工藤はいない。だけど、隣にはいるように感じた。
 いなくても、私は工藤の存在自体が自分を強くしてくれている。
 私は隣の席の工藤を見つめて、口角を上げた。工藤の席を見て、いつも寝ている彼の姿を思い浮かべて、彼を見てため息をついている私。たまに工藤を見ると、時折私を見て、微笑んでいる姿、私は口をゆがめている。無表情な彼が時折、笑う時は今日の一日なにかあるんじゃないかってくらいだった。だけど、笑うのは何かを思い出しているのかもしれない。
 私は工藤がなぜ笑うのか。不思議でならなかった。
 工藤の席を私は見つめて、彼が学校に来るのを待っていた。