小声で話しているつもりでも、話している内容は分かってしまう。小声の意味がない。
 授業が始まると、クラスメイトは先生の方を見つめて、数学の教科書を開き始めた。
 私も数学の教科書を開いて、先生の話を聞いていた。
 だが、後半から何を言っているのか分からなかった。
 私はさっきの幼馴染二人の言葉が頭をよぎる。数学の方程式もさっぱり頭からすり抜けて、風が吹いたみたいにどこかに消えていった。私は授業を終えると何処にも寄らず家に帰った。
「ただいま……」
 私は家に帰ると、母さんが出迎えてくれた。
「あれ? 今日仕事じゃなかったの?」
 玄関先に母さんがいたので、私は思わず聞いた。
「ああ、急に休んでいいよって上司から言われたの。だから、今日一日休みだったのよ。
ラッキーでしょ? こないだ、人が入って人数足りてるから休みになったの。だから、今日は母さんが料理作ったからね」
 母さんはふぅーと息を吐いてから、身体全体で左右に手を上げて、リズミカルに踊って嬉しそうにしていた。
「……うん、ありがとう。部屋行ってくる」
 私は呆れた顔で母さんを見てから、二階に上がった。
 自分の部屋のドアノブを開けてから、部屋に入って、ベットに横になった。
「………はぁ、今日は……高校に入ってから一番かも……」
 独り言を呟きながら、枕に顔を付けて小さい声で発した。何もかも疲れた。
 幼馴染二人があんな本性だとは知らなかった。もっと純粋で優しいのかと思えば。
 あーー、思い出せば嫌になってくる。
「…あーーー!」
 私は枕を口に当て、叫んだ。考えているだけでも嫌になってきた。
 なんで家族のことまで知っている奴がいるのだ。
 もしかして。そう思って、自分のパソコンを電源を入れた。
 数分経ち、インターネットをクリックして、宮元高校 掲示板と検索した。
 すると、そこには学校の掲示板が存在していた。