「お嬢さん、日射病になっちゃいますよ」
突然話しかけられた。人気のない場所で、知らない大人に。
「此処、日陰ですよ」
「でもこんな炎天下……あー、今はそう言わねえんだっけ、熱中症だったかな……迷子ですか?」
「ワタシ退屈してるんです」
質問を無視した答えだったが、大人は怒らずまた話しかけてきた。というか、どうして子供相手に敬語を使うのか。
「なら暇潰しにうちにいらして下さい。今時のゲームは持ってませんが、本と茶菓子ならありますよ」
誘拐犯という言葉が思い浮かぶ。それでも何故か怖いとも気持ち悪いとも思わなかった。
「行きます」
だから、自分が「悪い」子になってみる事にした。ソリの合わないグループから抜け出して、どうせ後で怒られるのだから。学校や家ではできない事をしてみたかった。初めて家族や親せき以外の男の人と手を繋いだ。
「お兄さんは何のお仕事してはる人なんですか?」
「何で食ってるように見えますか?」
大人は頭にタオルを巻いて、真っ黒なTシャツにジーパン、サンダルを履いていた。
「……露店のお兄さんですか?」
何故か噴き出された。
「焼きそばもたこ焼きも作れますよ」
見当外れな事を言ったみたいなのに、大人は嬉しそうだった。
突然話しかけられた。人気のない場所で、知らない大人に。
「此処、日陰ですよ」
「でもこんな炎天下……あー、今はそう言わねえんだっけ、熱中症だったかな……迷子ですか?」
「ワタシ退屈してるんです」
質問を無視した答えだったが、大人は怒らずまた話しかけてきた。というか、どうして子供相手に敬語を使うのか。
「なら暇潰しにうちにいらして下さい。今時のゲームは持ってませんが、本と茶菓子ならありますよ」
誘拐犯という言葉が思い浮かぶ。それでも何故か怖いとも気持ち悪いとも思わなかった。
「行きます」
だから、自分が「悪い」子になってみる事にした。ソリの合わないグループから抜け出して、どうせ後で怒られるのだから。学校や家ではできない事をしてみたかった。初めて家族や親せき以外の男の人と手を繋いだ。
「お兄さんは何のお仕事してはる人なんですか?」
「何で食ってるように見えますか?」
大人は頭にタオルを巻いて、真っ黒なTシャツにジーパン、サンダルを履いていた。
「……露店のお兄さんですか?」
何故か噴き出された。
「焼きそばもたこ焼きも作れますよ」
見当外れな事を言ったみたいなのに、大人は嬉しそうだった。