ぼくは小さい頃から身体が弱くて、すぐに風邪をひいたり、熱を出したりする子どもだった。

そのせいで保育園を休みがちで、そのたびに家で朝からずっと泣き続けていた。

両親はぼくの身体が弱いことを心配して、体力がつくようにってサッカーチームに入れたりもしていたけれど、正直きついだけで全然楽しくもなかった。

外で走り回るっていうのはぼくにとって辛いだけで、本当はサッカーなんてすぐにでも辞めてしまいたかったけれど、兄ちゃんもサッカーをしていたからなかなか辞めさせてくれず、土日が来るのが本当に嫌だった。

だけど、保育園はサッカーとはちがって大好きで。

だってユウヤくんがいて、いつも一緒にお絵描きをしたりして遊ぶことができたから。

無理やり外で遊んだりしなくてもよかったし、ずっと部屋の中で寝そべっていても誰にも注意されることはなくて。

もしユウヤくんがいなかったら多分ぼくは、みんなと一緒に外でおにごっことかをしなければいけなかったと思う。

だけど、ユウヤくんはとても泣き虫で、毎日朝から家の前でよく泣いていた。

「保育園なんか行きたくないよ」って。

だからぼくがいつもユウヤくんの手を引っ張って「一緒に行こう」って誘うと、いつもユウヤくんは泣き止んでにっこりと笑ってくれた。

その笑顔は、すごくぼくを幸せにしてくれて、もっとユウヤくんに笑ってほしいっていつも思っていた。

そんないつも泣いているユウヤくんが1番大泣きした日のことは今でも忘れられない。

夏の終わり、8月末に保育園で行われたお泊まり保育。

みんなで夕方カレーを作って食べた後に、アニメの映画を観ることになっていてぼくはこの日をずっと楽しみにしていた。

だけど、お泊まり保育の前日ぼくは風邪をひいてしまい熱が出てしまった。

40度近い高熱が出て、明日のお泊まり保育は欠席しましょうっていう話の流れになってしまって。

お泊まり保育当日、もちろんぼくも悲しくて泣いてしまったけれど、それ以上にユウヤくんがぼくの家の前で大声を出して泣いているのにはびっくりした。



「マサトくんと一緒がいい。一緒じゃなきゃ保育園には行かない」



近所中に響き渡る大きな泣き声だった。

そしてその日、ユウヤくんは本当に保育園に行かなかったらしい。

ぼくはその時思った。



ぼくが絶対にずっとユウヤくんのそばにいてあげるって。


どんな時も離れないって。



数日で熱は下がって、ユウヤくんと一緒にまた手を繋いで保育園に行けた時は本当に嬉しかった。

だからぼくは元気にならないとって思ったし、強くならないとって思った。

だってこれからもずっとユウヤくんのそばにいたいって思ったから・・・・・・。