二人が到着した頃には、既に他のペア達が来ており準備をしていた。
今回の任務のリーダーらしき人物に挨拶をしに行くと、とても優しそうな顔をしている青年がいた。
リーダーの名前は、サウス。
今回一緒に戦う仲間であり、先輩でもある。
なので失礼の無いようにしようと思いつつ自己紹介をしようとすると、向こうから先に口を開いた。
それも、かなり衝撃的なことを。
まさか、自分達と同じ年齢だとは思わなかったからだ。
そうして簡単な説明を受けた後、早速出発することになったのだが……。
リオンはふと思ったことがあった。
それは、先程まで隣にいたはずのカイリがいないということだ。
どこに行ったのかと思っていると、彼は少し離れた所でサウスと話していた。
何を話しているのだろうと気になりつつも、あまり詮索するのは良くないと思いそっとしておくことにした。
そして数分後に集合と言われていたので急いで向かった。
そこには、もう全員が集まっておりサウスの指示を待つばかりであった。
そして、ついにその時が来た。
サウスの合図により、皆一斉に森の中へと入っていく。
今回はクライを討伐するのが目的なので、なるべく奥地へ進んでいく必要がある。
だがいくら進んでも一向に見つからない。
これは相当なクライなのだろうと、カイリと揃って武者震いした。
それから更に進むこと数十分。
すると、急に目の前に大きな影が現れた。
その正体は紛れもなく、クライだった。
だが、普通のクライとは様子が違っていた。
なんと、腕が何本もあるのだ。しかも、足は八本のようだ。
「なっ……!?」
初めて見るその姿に、驚きを隠せなかった。
だが、こんなところで引き返す訳にはいかない。
他のイーターもいない。
二人で闘う。
──慣れている。
「いくぞ!! リオン!!」
「おう!!」
二人で武器を構える。
そして二人共、その目を輝かせた。
「「天眼(てんがん)!!」」
次の瞬間には、二人は既にクライの前に立っていた。
クライは一瞬の出来事に驚いたが、直ぐに戦闘態勢に入る。
まずはリオンが、召喚した刀で斬りかかった。
しかし、二本の腕によって受け止められてしまう。
その一本の腕から、鮮血が雨のように吹き出した。
もう片方の手で攻撃される前に距離をとると、今度はカイリが攻撃を仕掛ける。
カイリは、持っている大斧を軽々と振り回し、攻撃をしていく。
しかし、それも防がれてしまった。
この調子では勝てない。
ならば──とリオンは思った。
ここは、自分の出番ではないと。
するとカイリが何かに気付いたようで、リオンの方を見た。
その視線を辿ると、リオンは──泣いていた。
それも、笑いながら。
「……"血哭(ちなき)”!!」
そう、リオンは血の涙を流している。
たが、ただの血ではない。
その涙は赤く輝かやいていた。
そして、その血は地面を赤黒く濡らすと同時に、地面から業火が噴火の如く噴き上げた。
「これは、燃える血だ!!」
その光景を見て、クライは恐怖を覚えた。
まるで、自分が喰われてしまうような感覚に陥ったのだ。
クライは逃げようと試みるもその時には既に遅かった。
何故なら、その炎は体に巻き付き、クライを逃がさんとしていたのだ。
クライは逃げることが出来なかった。
「じゃ、やっちゃうか」
その声は、すぐ後ろから聞こえた。
恐る恐る振り返ると、そこにいたのはリオンではなく、カイリだった。
リオンは何処にいるのかと辺りを見渡すと、彼の姿はすぐに見つかった。
困惑していると、彼は地面と共に逆さになっていた。
まるで重力が反対になったかのように。
「……ア」
そして、クライの目に入ったのは、無惨に、逆さになって置かれている自分の体──首無しの胴体だった。
自分は、首を斬られた。
そう認識した時、視界が真っ暗になっていった。
「目を潰さないとな」
クライは目が弱点である。
その後、リオンが倒したという証拠として、その死骸を持って帰ることになった。
クライの体はかなり大きく、運ぶのも大変だったが、遭遇した他のイーター達と協力してなんとか持ち帰ることが出来た。
こうして、リオン達の任務は終わった。